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歯周病で失った骨や歯肉を再生する治療とは?歯周組織再生療法について解説
「歯周病がかなり進行している」「このままでは歯を抜くしかないかもしれない」「歯肉が下がったり、骨が溶けたりしたらもう元に戻らないの?」このような不安やお悩みはありませんか?
通常の歯周病治療は、病気の進行を食い止める「現状維持」が主な目的でした。しかし近年、失われた歯周組織(歯を支える骨や歯肉)そのものを再生させる「歯周組織再生療法」が登場しています。
この治療法により、抜歯のリスクを減らし、ご自身の歯を長く使い続けられる可能性が広がりました。
そこで本記事では、歯周組織再生療法とは何か、その方法について解説します。
歯周組織再生療法って聞いたことある?
通常の歯周病治療は、歯石除去やクリーニングによって病気の「進行を食い止める」ことが主な目的です。進行は止められても、失われた骨が元に戻るわけではないため、歯が長く見えたり、歯肉が下がったままだったりという課題がありました。
一方、歯周組織再生療法は、そこから一歩進んで、失われた歯周組織を再生させ、歯を支える土台そのものを再建することを目指す治療法です。これにより、抜歯のリスクを減らし、ご自身の歯を長く使い続ける可能性を高めることができます。
歯周病により失った「骨」を再生させる方法
歯周病により失った骨を再生させる治療法には、「リグロス」と「エムドゲイン」があります。
リグロスは、日本で開発された歯周組織再生のための医薬品です。主成分は、細胞の成長を促す特殊なタンパク質「成長因子」です。
手術の際は、歯周病菌や歯石をきれいに取り除いた後の骨が失われた部分にリグロスを塗布します。すると、成長因子の働きによって骨を作る細胞などが集まり、活発に働き始めます。さらに、新しい血管が作られることで細胞に栄養が届きやすくなり、歯槽骨などの再生が促進されるのです。
この成長因子は、もともと人間の体内にある成分で、すでに火傷や床ずれの治療など、皮膚を再生させる医療にも応用されています。
一番の特徴は、一定の条件を満たせば健康保険が適用される点でしょう。ただし、保険を適用するには骨の溶け方などに細かい基準があり、すべての症例で使えるわけではありません。
一方、エムドゲインは、スウェーデンで開発され、世界中の歯科医療で長く使用されている歯周組織再生材料です。主成分は「エナメルマトリックスタンパク質」という、子どもの歯が作られ、生えてくるときに役割を果たすタンパク質の一種です。
このタンパク質をゲル状にしたエムドゲインを骨が失われた部分に塗ることで、歯が本来持っている再生能力を引き出し、歯周組織が再生しやすい環境を整えます。
世界中で多くの臨床実績があり、その有効性が広く認められている点が特徴です。治療は自費診療となるため費用は高くなる傾向にありますが、保険適用の条件に当てはまらない症例でも使用できる場合があります。
なお、エムドゲインはブタの歯の組織から作られているため、アレルギーなどの観点から使用できないこともあります。
歯周病により失った「歯肉」を再生させる方法
歯周病により失われた歯肉を再生させる方法には、「歯肉弁根尖側移動術(APF)」、「遊離歯肉移植術(FGG)」、「ウィドマン改良フラップ手術(MWF)」があります。
歯肉弁根尖側移動術(APF)
APFは、歯周ポケットを浅くし、歯肉の健康を維持するために行われる手術です。
この手術では、まず歯肉を切開して歯の根をきれいにします。その後、歯肉を少し歯の根の先の方向へ移動させてから縫合します。
目的は、歯周ポケットそのものをなくし、歯磨きがしやすい口内環境を作ることです。
私たちの歯肉には、歯ブラシなどの刺激から歯を守る「角化歯肉(かくかしにく)」という硬く丈夫な部分があります。APFではこの角化歯肉を温存、または増やすことができるため、歯肉が引き締まり、歯周病になりにくい状態を維持しやすくなります。
ただし、歯肉の位置を移動させるため、術後に歯の根元が少し露出し、歯が長く見えたり、一時的にしみやすくなったりすることがあります。
遊離歯肉移植術(FGG)
歯肉が痩せて薄くなってしまったり、もともと「角化歯肉」が不足していたりする場合に行われるのが、このFGGです。
上あごの硬い部分から、角化歯肉を少量採取し、歯肉が足りない部分に移植して縫い付けます。これにより、歯肉の厚みや幅を増やし、より丈夫にすることが可能です。
歯肉が強化されることで、日々の歯磨きの刺激にも強くなり、長期的に歯やインプラントを安定させる効果が期待できます。
ただし、移植した歯肉と、もともとある歯肉とで、少し色が異なる場合があります。
ウィドマン改良フラップ手術(MWF)
歯周病が進行すると、歯周ポケットが深くなり、通常のクリーニングでは届かない場所にまで歯石や細菌が入り込んでしまいます。
ウィドマン改良フラップ手術は、こうした深い場所の汚れを徹底的に取り除くための手術です。
まず局所麻酔をした後、歯肉を慎重に切開して少しだけ剥がし、歯の根元を目で見える状態にします。普段は見えない部分を直接確認しながら、こびりついた歯石や細菌に汚染された組織をきれいに除去することが可能です。清掃が終わったら、歯肉を元に戻して縫合します。
この手術によって歯周病の原因を根本から取り除くことで、歯肉の炎症が改善し、健康な状態へと回復するのを促します。
まとめ
歯周組織再生療法は歯周病によって失われた歯槽骨や歯肉といった歯周組織を再生させ、歯を支える土台そのものを再建することを目指す治療法です。
主な方法として、骨を再生させる「リグロス」や「エムドゲイン」、歯肉の状態を改善・再生する「APF(歯肉弁根尖側移動術)」「FGG(遊離歯肉移植術)」「MWF(ウィドマン改良フラップ手術)」などがあります。
ただし、どの治療法もすべての症例に適用できるわけではありません。ご自身の歯周病の状態や骨の溶け方によって適した治療法は異なります。
まずは歯科医師に相談し、ご自身の状態に再生治療が適しているか、どの方法がベターなのかをしっかりと見極めてもらいましょう。